熊本県腎移植者の会
 おしらせ
戻る ホーム
 ホーム > おしらせ > 山永先生講演会
 

山永先生講演会

最終更新日 [2018年7月13日]  

熊本赤十字病院 外科 山永成美先生

                         山永成美先生講演会

                                                       会員 坂井敏弘
 今年の総会の講演は、このほど2年に及ぶアメリカ留学から帰国された山永先生にアメリカの臓器移植の状況、日本との相違点などについてお話しいただきました。
 先生は今回、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)で、脳死の方からの臓器摘出の技術を磨くことやbig dataを使った臨床研究を行うことなどを中心にして勉強されたというお話でした。
日本では亡くなった方からの臓器摘出手術は全国で年間80件程度、それに対して腎移植施設は全国に150くらいあって、従って移植のために脳死者から臓器を取り出す機会というのは1年に1回もないくらいで、毎回恐る恐るその場に臨むのだそうです。今回山永先生は2年間の留学中におよそ100件の摘出を経験されたということでした。
 アメリカは日本よりもはるかに臓器提供の機会が多く、UCSFでは年間360件程度の腎移植が行われていて、(これは全米でも最多だそうです)そのうち200件は献腎移植だそうです。ちなみに腎移植希望者の待ち時間も日本では平均15.8年、アメリカでは4年ということです。
ただし、移植腎の生着率で見ると、むしろ日本の方が好成績で、一般にアジア人は他の民族に比べてHLAの適合率も高く移植の成績も良好なのだそうです。またアメリカは医療保険の仕組みが日本ほど行き届いておらず、せっかく移植しても免疫抑制剤を買うことができずに移植した臓器がダメになるという現実もあるそうです。日本の健康保険制度のありがたさを思いました。
また臓器提供の意思表示も日本の場合、運転免許証の裏に自分で記入するようになっていますが、アメリカでは免許証発行時点で、臓器提供するかしないかをプリントアウトされているのだそうです。これは簡単で素晴らしい方法だと思いました。日本でも今すぐにでもできるはずです。こんないいことは一日でも早く取り入れてほしいものです。
 また臓器移植の手順についても日本とアメリカとではずいぶん違いがあるようです。例えば北海道で脳死になられた方が出て、その腎臓を熊本で移植するというときには熊本の移植担当の先生が5人程度のチームを作って手術道具から氷までを自分たちで持って北海道まで出かけ、腎臓を摘出し熊本に戻ってきて移植をするのだそうです。しかもその際の航空券の予約などすべて先生方でしなければならないのです。それに対してアメリカではOPO(臓器調達機関)という機関があり、移植に際しての細かな手順を医師に代わってやってくれるのだそうです。だから医師はそのOPOが派遣した車に、手術道具も氷も持たずに乗って、(長距離の場合はジェット機に乗って)先の病院へ行って臓器を取り出し、またOPOの車ないしはジェット機に乗って帰ってくればいいのです。しかもその帰りの車、ジェット機には栄養補給のためのご馳走(袋にSave life.命を救え、というような励ましの言葉が書かれていたりする)が用意されているというのです。
 UCSFには世界中からたくさんの方たちが集まって勉強されています。山永先生はそのような方々と親しくお付き合いされてたくさんの人脈を築かれました。その中にジョイス・トロンペタさんというレシピエントコーディネイターの方がいらっしゃいます。彼女は研究者でもあり、彼女の研究によると、万一脳死状態になったとき臓器提供をするかどうか、あるいは命の最後が近づいたときに延命治療を続けるか否かといったことを前もって家族と話しあっている場合とそうではない場合とでは、話し合ったことのある場合の方が臓器提供の率がぐんと上がるという結果が出ているのです。確かにそうだろうと思います。家族の中でそのような話し合いの時間を持つことはとても大事なことです。
 そのようなジョイスさんが熊本で自分の研究をしたいと希望されているらしいのです。今年の春、すでに一度熊本を訪れ講演活動などを行われたのですが、今年の秋、11月18日にも再来熊され、市民公開講座が開催されるというお話でした。
 山永先生はこのような動きの中で熊本から臓器移植の大きな波を起こそうと計画されています。具体的にあげると以下のようなことを目指しているとのことです。
    移植医の育成      腎臓内科への教育プログラム
    移植医療支援室の設立  熊本OPOの設立
    提供病院同士の連携   メディアを通しての市民への継続的な教育、啓発等々

 お話を聞いていて先生の素晴らしい意欲とエネルギッシュな行動力に頭が下がる思いがしました。私たちもこれからの熊本の移植医療の進化に注目していきたいと思います。
有益なお話をありがとうございました。 

この情報に関するお問い合わせは
熊本県腎移植者の会事務局
電話:090-2588-6428
メール メール 
※資料としてPDFファイルが添付されている場合は、Adobe Acrobat(R)が必要です。
 右の「アクロバットリーダーダウンロードボタン」をクリックすると、アドビ社のホームページへ移動しますので、お持ちでない方は、手順に従ってダウンロードを行ってください。
アクロバットリーダーダウンロードボタン
(新しいウィンドウで表示)
  ▲ページの先頭へ   

戻る ホーム